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なぜ製造業のプロジェクト管理は失敗するのか 正確な進捗把握を実現する秘訣:製造業のプロジェクトマネジメント

製造業でのプロジェクトマネジメントの成功には、タスクやリソース管理をしながらの進捗率の正確な把握と、成果物の管理の両立が必須だ。それらに必要な機能を提供するのが、アラスジャパンのAras Innovatorだ。

 

2024年11月01日

Original source: なぜ製造業のプロジェクト管理は失敗するのか 正確な進捗把握を実現する秘訣 by ITmedia

4つのリソースをどう管理するか​​​​​​​

 これを考える上で認識しておくべきなのが、そもそもプロジェクトマネジメントは単なるスケジュール管理の業務ではない、ということだ。アラスジャパン 社長の久次昌彦氏は「プロジェクトマネジメントを円滑に進める上では、プロジェクトに関わるヒト、モノ、予算(カネ)、時間の4つのリソースを一元的に管理し、調整する必要があります」と指摘する。

 問題は、これらのリソースをどう管理するかだ。製造業ではExcelを用いる手法が主流だ。導入が容易で扱いやすいといった利点はあるものの、リソースに関わる情報の入力や修正が担当者に委ねられてしまうという問題もある。

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アラスジャパン 社長の久次昌彦氏(右)とザイオネックス 執行役員 アプリケーションサービス事業部長の伊藤一博氏(左)

 「あるタスクで遅延が生じると、その後に続く一連のタスクに影響が及びます。Excelでは、そうした工程のズレを手作業で全体計画に反映しなくてはなりません。担当者が各タスクの進捗状況を更新し損ねるとリソース管理がうまくいかず、混乱を招きかねません」

 全体計画に対する修正・調整の履歴が残らないのも問題だ。Excelでは最新バージョンの計画しか見ることができず、当初の計画に対する遅延の程度が分かりにくい。誰が、いつ、どのように変更したのかの確認も困難だ。

 これらを避けるため、プロジェクトマネジメント専用ツールを導入する企業も増えている。だが、それでも抜本的な課題解決に至らないことも多々ある。スケジュールやリソース管理には対応していても、成果物管理の機能が不十分なケースがあるからだ。

 「組み立て製造業の場合のプロジェクトマネジメントは単に日程だけを管理すれば良いわけでは無く、製品への要求事項に基づいてタスクと成果物をヒト、モノ、カネ、時間のリソースと相互にひも付けて管理しなければなりません。従って、ERPや製造実行システム(MES)などと連携して情報を集める必要があります。製品開発の過程で要求事項に変更が生じることも珍しくないため、成果物のバージョン管理も不可欠です」

組織の情報を集約し、プロジェクトマネジメントの課題解決を支援

このように、一般的なプロジェクトマネジメントツールでは製造業における要件への対応が難しい。そこで注目したいのが、製造業の円滑なプロジェクトマネジメントを支援するアラスジャパンのPLMソフトウエアAras Innovatorの「Program Management」機能だ。

 「デジタルスレッド上でデータをつないで複合的に情報を見ることができるPLMの機能がプロジェクトマネジメントでも役立つのです。部品表(BOM)を中心に情報を集約した一元管理も容易になります」(久次氏)

Program Managementを用いたプロジェクトマネジメントのイメージ

Program Managementを用いたプロジェクトマネジメントのイメージ 提供:アラスジャパン

Aras Program Managementには、大きく分けて3つの特徴がある。1つ目は、部門、部署をまたいだ成果物のシームレスな管理が可能な点だ。各タスクの成果物を登録しておくと、自動的にリビジョン(履歴)管理する。「関連するデータがデジタルスレッドでシームレスにつながっており、成果物を変更管理システムと連携させて管理することも可能です」

 2つ目はリソースの一元管理、運用を実現する点だ。各タスクにリソースを的確にアサインし、負荷状況を一元的に管理できる。担当者は、カンバンを運用するように作業完了のステータスを宣言するというワンプッシュの作業で進捗報告できる。日々の業務の延長線上で進捗報告ができるため手間が掛からない分、全体計画の進捗率やリソース状況が実態に即した正確なものになりやすい。

 3つ目はデータの安全な管理を実現する点だ。プロジェクトのアクティビティーやリソースのアサイン、成果物への変更作業に適切なセキュリティ権限を付与する。これによってプロジェクト情報への全社レベルの厳重なアクセス制御を実現し、いつ、誰が変更したか分からないといった事態を防ぐ。

 Aras Program Managementは組み立て製造業だけでなく、プロセス製造業のプロジェクトマネジメントの課題も解決する。従来ばらばらに管理されてきた原材料の配合表(レシピ)やプロセスの条件(フォーミュラ)といった情報をひも付けて運用できる。

 「レシピやフォーミュラの変更要求への対応は、数カ月、場合によっては1年以上を要します。上流工程で発生した変更要求を早期にプロジェクトの全体計画に反映できれば、生産開始までの期間を短縮できます」

企業の個別事情に合わせたプロジェクトマネジメントを実現

プロジェクトマネジメントをより容易に実現するツールとして、アラスジャパンのパートナーであるザイオネックスの「Dynamic Task Manager」(以下、DTM)にも注目だ。Aras InnovatorのアドオンソリューションとしてProgram Managementの基本機能を拡張、強化して引き継いでおり、使いやすいプロジェクトマネジメントツールに仕上がっている。

 DTMのコンセプトについて、ザイオネックス 執行役員 アプリケーションサービス事業部長の伊藤一博氏は「製品の企画から設計開発、試作、量産までを一つのプロジェクトとみなし、その計画や実績、成果物、そこで発生するオペレーションを一元管理します。ガントチャートのUI(ユーザーインタフェース)を通してタスクの担当者と管理者が現状認識を共有できる、組織横断のコラボレーションを促進します」と説明する。

DTMの機能概要

DTMは、ユーザー企業がプロジェクトマネジメントで重視するポイントに応じて柔軟なカスタマイズ開発にも対応する。これによって、成果物数や実作業時間、残見込み時間などを基にタスクの完了状況を自動判定してステータスを更新する仕組みなども実現できる。こうした点が高く評価され、DTMは川崎重工業などの製造業を中心に十数社にすでに導入されている。

 DTMの基本的な特徴を、プロジェクトマネジメントのプロセスに対応させて紹介する。事前準備として、WBS(Work Breakdown Structure)形式で設計された新規プロジェクトのテンプレートに沿って要件を定義する。日程設定や担当者の負荷状況の確認、チェックリストやリンク情報の追加、予定成果物の編集、サブプロジェクトの準備などができる。

 計画フェーズでは、管理者がガントチャートで詳細なスケジュールを作成し、リソースを調整してプロジェクト全体の見通しを立てる。実行フェーズでは各担当者が自分のタスクを確認し、成果物の登録や進捗状態を更新する。管理者はガントチャートのバーの色やリソース負荷グラフ機能で個々のタスクの進歩率や負荷状態を把握し、計画を再調整できる。監視・管理フェーズでは、EVM(Earned Value Management)機能や開発進捗度グラフからプロジェクトの全体計画やタスクごとの進捗状況を把握しやすくなっている。

 DTMの重要な特徴の一つに、納期とバッファーの最適化手法として重要なCCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)に対応した機能がある。「ガントチャートで一連のアクティビティーを可視化したクリティカルパスを一目で確認し、タスクの遅延がバッファを消費し、タスクの進捗率とバッファ消費率からプロジェクトの全体計画に及ぼす影響を迅速に把握できます。素早く、適切な対策が可能になります」(伊藤氏)

CCPMに基ずくプロジェクトマネジメント

CCPMに基ずくマネジメントが可能に

アラスジャパンは、ザイオネックスらのパートナー企業と共に製造業のプロジェクトマネジメントのさらなる高度化を目指している。高度化の鍵を握る技術の一つが生成AI(人工知能)だ。久次氏は、「PLMに集約されたデータをLLM(大規模言語モデル)として活用することでプロジェクトマネジメントを省力化、効率化する知見の抽出が可能になります。管理者も担当者も、付加価値がより高い業務に集中できるようになるでしょう」と展望を語る。

 

ザイオネックスは進捗率をより正確に把握できる環境づくりを進める。伊藤氏は製造業の定常業務である日報作成に注目し、「日報の入力にインセンティブを付与できれば、担当者がタスクの情報を主体的に更新する仕組みが作れるのではと考えています」と語る。

 タスクに関連するデータをシステムが自動収集し、成果物の進捗率とリソースの負荷状況を正確に把握できる。こうした仕組みがあれば、プロジェクトマネジメントの成功率はぐっと上がる。進化を続けるAras InnovatorのProgram ManagementとDTMは、製造業の現場管理のパートナーとして大いに頼もしい存在だ。

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